てりり◎物語、梗概集

てりり◎物語、梗概集

筋、道理。重層世界の諸要素。ナラトロジー

オタサーの姫 サークラ舞い散る春

プロローグ

「わたしの好きなあの人は、漫画サークルに入ってしまった。だからわたしも入ったの、漫画研究会に」


タイトル「オタサーの姫 サークラ舞い散る春」


大好きなあの人が入った漫画サークルはここね、漫画研究会っと……
「しゅんくーん! わたしだよー!」
「!?」
「なんだなんだ!?」
「お、おじょおさん、ここはまともなにんげんの、くるところじゃ、あ、ありませんよ、お、おにげなさい」
「えっ」
「あれ、けいちゃん!? なんでこんなところに」
「しゅんくーん、くぅーん、くぅーん」
「ここは人外魔境だ、人間の世界へ帰れ」
「やだーやだやだやーだーやだーー」
「ふざけてないで帰れって」
「しゅんくんと一緒のサークルがいいの! わたしもここに入る!」
「だめだ! ここは人間のくる所じゃない! 帰れ!」
「やだよー、ふええええええええええん」
「まあまあ、しゅんくん、ここはけいちゃんとやらの望みを叶えてやりたもうじゃないか」
「だめです」
「よろしくお願いします!」
「だめだってけいちゃん」
「ぼ、ぼくも帰ったほうが、い、いいと思う、は、はやく」
「ご親切にありがとう! でもあたしここに入ります! よろしくね、かわいいデブっちょさん!」
「う、うう、そ、そう言うなら……(ぼ、ぼくはデブだけど、せ、先輩なんだな……で、でもかわいいって、そんな、ポッ)」
「部長はどう思います?」
「拙者は二次元にしか興味が無いでござる、三次元などどうでもいいでござる」
「部長? けいちゃんは先輩には興味が無いと思いますよ?」
「う、そ、そんなことはどうでもいいでござると言ってるでござる!! 言っているでござる!!!!」
「わたしは部長さんのこと嫌いじゃないですよ? 侍の心は日本の心。とっても素晴らしいですよ!」
「(ズッキューン)せ、拙者はそう、侍、モノノフでござる、見よこの刀さばき」
「部長それ時代劇漫画の真似ですよね」
「う、うるさいでござる、漫画もまた真なりでござる!」
「うふふ、かわいい」
「あ、あわわわわでござ、ござ候、ござ、ござ」
「副部長として言わせてもらう」
「はい! よろしくおねがいします! メカに強そうな部長さん!」
「(こいつ、出来る……、俺がロボットマニアとして県内でも一・二を争う男だということを既に見抜いたか……)うむ、メカについてどう思う」
「可変は正義です!」
「合格うううううう(好きだ!)」
「やれやれ副部長まで籠絡するとは、しかし私はかの名高い漫画の神様のマニア、簡単なことでやられはしません」
「原子の子はエロスです! ショタです! ぎゅっぎゅしてちゅっちゅです!」
「好きだああああ!!」
「けいちゃん、みんなけいちゃんの虜だよ、どうするの」
「しゅんくーーん、きゃぴ♡ わたしはしゅんくんだけのものだよーぅ」
「しゅん! け、けいちゃんはわたさないお!」
「しゅん! 介錯つかまつる!」
「しゅん! 君にミサイルキック!」
「しゅん! お前を抱きしめたまま太陽に突っ込む!」
「あわわ、けいちゃん、僕サークル首だって」
「じゃあわたしもやーめた! 二人で漫画サークルしましょ!」
「そ、そんなあ」
「そ、それは無いでござる」
「そ、それってロボットでも傷つく」
「そ、そんなあんまりだよ」
「けいちゃん、新しいサークルの申請に行こう」
「うん! あっ皆さんのことも好きだから、新しいサークルに入ってくれるなら、喜んで受け入れますよ?」
「よろしくだお」
「よろしく頼み申す」
「新しい秘密基地に行くか」
「鳳凰の如く復活だ」

こうして一つのサークルが潰え、新たなサークルが生まれた。しかし近い将来サークルはまた潰れ、また新たなサークルとなって転生を繰り返す。何度でも何度でも、春になるたび生まれ変わる、桜のように舞い散るだろう。