てりり◎物語、梗概集

てりり◎物語、梗概集

筋、道理。重層世界の諸要素。ナラトロジー

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

僕の幽霊

血まみれの部屋で目が覚めた僕は猫と一緒に旅に出た。 血まみれの男たちが現れ、僕の猫を返せと騒ぎ立てる。だから僕は懲らしめてやったのだ。100万回の死を彼らに与えて。 過ぎ去った嫌な思い出はなるべく早く忘れようとてくてく歩いていくと、猫が女の…

そうすれば僕だってきっと

一生懸命生きているけれど、誰にも何も評価されなくて、いつもどうにもやるせなくて倒れこんで泣き叫んで力尽きるまで蠢いて、疲れて眠って、それでも目が覚めて、また代わり映えのしない愚かな毎日を送らなくてはならないって気がついた僕は、どうにも涙が…

幸いなことに僕の家は全焼し尽くし誰一人生き残る事は無かったのだった、僕を除いて。 僕はいつも一人で裏山の空き地に佇みしげしげと星空を眺めたりしながらうたた寝したりして、そんな僕にはちょうどいい過ごしやすい気候の夜だったのだけれど、生憎家は火…

指先の痺れの果ての悦楽

第一章 雪の中に横たわる人を発見した時、僕は何を思い出したのかというと、それはただもう死んでいるに違いないということであって、それは同時にそこにいるのがもう生きている存在などではなくて、「死体」なのだろうということであって、それはつまり「物…