てりり◎物語、梗概集

てりり◎物語、梗概集

筋、道理。重層世界の諸要素。ナラトロジー

正義の申し子 1

 無意識のうちに悪を倒してしまう、天性の狩人、正義の申し子、白鳥一羽(しらとり・かずは)。
彼は自らの意志とは関係なく、悪に気づいた瞬間にはもう既に倒してしまっているという天賦の才を持つ。しかし、それは自らの望む事では決して無い。
彼は生まれつきどうしようもなく正義の人として生まれついており、あらゆる時、そう振舞うことしかできない。けれども彼は、悪人を処断する事以外に、彼らを改心させ有用な人間に生まれ変わらせる事が出来ないものかと願い続けている。
しかし、彼の願いに適うだけの素質を持った悪人とは巡りあえず、不本意ながら、心に涙を流しつつ、気づいた時には斬ってしまっているという日々を、送り続けているのである。