枝垂れ牧草

暗いクリオネ、玄倉伊豆ね、廻る世界と五臓六腑、鋭く尖った獲物を片手に
「待て！」
放たれたのは矢、一拍子の世界
「狩れ！」
放たれた追手、五拍子の、七拍子の、急病死の、世界

狂おしく「なお」叫ぶ、悶える、しがみつきねぶりかき乱す、爪を立て
「はい！」賛同の嵐、勇気凛凛、正義は果たされる

ただ死んでいく咎人が、なぜ咎人なるか、咎を犯した存在だからで、人格なんかどうだっていいのさ

ぐるぐるぐる　ぐるぐる　ぐるぐるぐる　ぐるぐる

嚆矢に輪を描き絵の具の算段、有象無象からひとくさり
講義に名を書きエログロ散弾、葡萄酒造から街中に

あれあら　あれ？　あられも要る？
「いらぬと申した訳じゃなし」
あれあら　いぬ？　犬居ぬ？
「犬じゃと申した訳じゃなし」

あーあ、砂漠で息耐えて、干物のように干からびたい
あーあ、海辺で息耐えて、膨らんだ化物になりたい
あーあ、互角に息巻いて、筋張った君の肉斬りたい
あーあ、無難に東風吹いて、幻惑の魔に身を裂かせたい

黙然　黙然　黙然　黙然